1.里地里山とは
みなさん、毎日、食事をおいしくとっていますか。ご飯や様々なおかず、水も飲みますね。これらはどこから来ていると思いますか?田んぼや畑、それらを取り巻く里山から流れ出る湧水や川などからですね。私たちは自然の恵みを得ることで暮らしています。
こうした自然の恵みをもたらしてくれる農山漁村の空間のことを、別の言い方で「里地里山」といいます。里地里山は、実は原生の自然ではありません。長い年月をかけて人々がその地域で暮らす中で、自然に働きかけることによって形成されてきたものです。例えば、山の木を伐って利用しながら植林をすることで里山としたり、湧水や川から水路を掘って水を引いて田んぼをつくったり、畑を開墾したり、家の周りに食べたり薬にしたりできるような植物を植えたりするなどの営みがあげられます。
こうすることで生活に役立つものを生み出すことができるようになります。同時にこうしてできた里山や田んぼや畑、水路などには多様な動植物も生息できる豊かな自然環境が生まれます。そこには知恵や技術、生活文化、暮らしていくための制度や仕組みなどが備わっています。まさに里地里山は自然と人が織りなされた生活世界といえるものなのです。
2.里地里山での体験と学び
里地里山では、自然環境について学ぶだけでなく、自然と人がどのように付き合い、どのように暮らしていくか、そのための知恵や技術、文化を学ぶことができます。動植物やそこに暮らす人々(おじいちゃん、おばあちゃん、おじさん、おばさんなど)から学びましょう。
私たちの生きることに深く関係している里地里山のことを学ぶためには、単に理屈として理解するだけでなく、自ら体験していくことが大事です。
遊びながら、楽しみながら体験し学ぶことで、私たちの身近な暮らしの営みにもかかわらず、普段は忘れてしまっている自然に対するへの感性を高めたり、生活の知恵や技術、文化に対する理解を深めていきましょう。
3.里地里山の保全・活用と継承
里地里山での学びは、単なる知識としての学びにとどまるものではありません。
里地里山で学ぶこと、体験すること自体が、
その保全や活用、継承といった、実際に役立つ取組につながっています。
今、日本では、都市化が進む中で、地方地域の過疎化や少子化が問題となっています。
地方の農山漁村は、まさに里地里山の宝庫です。
しかし人々がいなくなってしまうと維持継承することが難しくなってしまいます。
皆さんが里地里山を訪れて体験学習を行うことは、
その恵みを保全し,活用し、継承することにつながるのです。
一口に里地里山といっても、様々なアプローチ方法があります。
植物、動物、昆虫、食べ物、遊び(野遊びの数々、釣りなど)など、みなさんはどんなことに関心がありますか、そしてしてみたいですか?
まずは気軽に興味のある分野から里地里山にかかわってみましょう。
4.持続可能な未来の世界づくり
里地里山にかかわること、そこでの営みに参加することは、未来の持続可能な世界をつくることにもつながります。
里地里山は、長い年月、自然と人が相互に作用する中でつくり出された世界です。
それは地域の様々な資源を循環させながら、人の暮らしを支えるだけでなく、多様な動植物も育んできました。
まさに持続可能な世界そのものです。
里地里山の体験学習を通じて、自然の生態系の不思議や、人々の知恵や技術、文化に触れて理解を深めていきましょう。
それは自分を豊かに育てることでしょう。そして、自分たちの未来の持続可能な世界を創っていくための、
身近なところでできる様々な人々との実践へと導いてくれることでしょう。